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執筆者の写真浅野千恵

どんな音楽を目指すか(2)

私は、たくさんの先生方に教えていただきましたが、どうしたらその曲がもっと良くなるか、ただ正しく弾くのではなく、技術と解釈とイメージなどのあらゆる観点から、細かく、また先生ご自身の演奏活動から、背中で教えていただきました。そうやって教えていただくうちに、イメージがより洗練されるようになり、また表現技術が追いついていったのかなと思います。


イメージした音楽をきちんと楽器と弓に乗せて、表現できるようになるには、ある程度技術はどうしても必要です。でも、技術が完璧に一致しなくても、情熱が高ければ伝わります。

ただ、技術とイメージの距離があまりに遠いと、さすがに難しいと思います。


私は、基礎練習を鈴木メソッド(4歳~12歳)の頃全くしたことがなかったので、左手のテクニックが弱く、テクニックを見せる演奏はできないことは自覚していました。


それに、自分が心惹かれる演奏は、フルトヴェングラーの「英雄」に衝撃を受けて以来、音楽的に深い演奏で、今でも目指しています。少し雰囲気の違うモーツァルトやフランスの曲などは、できるだけそのイメージや様式から外れないようにし、その上で自分の感じた感覚を大事にするようにしています。


「音楽的に深い演奏」でふと思い出したことがあります。

芸大生だった頃、大指揮者のチェリビダッケ氏が指導に来てくださったことがありました。

その時、なんとコンサートミストレスをさせていただき、間近で、この大指揮者の一挙一動を拝見することができました…夢のようでした。

何の曲だったか、残念ながら忘れてしまいましたが、指揮棒をゆっくり上げ、初めの音を合図するその動きだけで、学生皆が緊張感に包まれ、練習の時にはなかった深い音を奏でたのが、衝撃的で印象深く、フルトヴェングラーの演奏をCDで初めて聴いた時以来の感動でした。指揮をされる姿が、もうものすごいオーラで、それだけで音が変わってしまうほどでした。全員がただただ夢中で演奏していたのを覚えています。

私にも「いい音を持っているね」と声をかけてくださり、今でも、素晴らしい思い出として、心に残っています。



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