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執筆者の写真浅野千恵

両親から受け継いだもの(1)

私の両親は、音楽とは全く無縁でしたが、聴くのは好きで、結婚する前から、父はベートーヴェン、母はモーツァルトが好きで、家には両親が買ったレコードがありました。


また、父は子どもの頃、声が良かったので、中学校で一人で独唱させてもらったり、音楽の先生が、歌手(クラシック)の道に進まないかと、祖父母を説得しに家まで来たことがあったりしたということでした。


ただ、その頃父の実家はそれほど裕福ではなかったので、音楽の道なんてとんでもない、と祖父母が言って、結局父は音楽の道には進まなかったのでした。


その後私が中学生になり、私を音楽の道に進ませることを決めた時には、父には、自分にはできなかった夢を、どこか私に託していたところがあったと話していました。


父の中学校時代の話を子どもの頃から聞いていた私も、どこかで、音楽を選ぶことは、父の夢をかなえることなのかなと、潜在意識の中にはあったと思います。


また、小さい時に、クリスチャンの父は、日曜日に私達子どもに聖書を教えていたのですが、毎回始める前に讃美歌を歌っていました。その時に、私は必ず、メロディではなく、アルトのパートを歌い、ハモるのが何より楽しみでした。

そういうことをしたがるのは、私だけでしたので、3人姉弟の中で、当時は、一番音楽が好きだったかもしれません。


でも、際立って優れていたとか、そんなことは全くありませんでした。

ただ、歌うことが好きな子ども、というくらいで。

今思うと、歌うのが好きなのは、父から受け継いだのかな、と思います。

そういえば、芸高の授業で、副科か何かの声楽の授業の時に、副校長で声楽家の外山浩爾先生から、「君は声がいいね!」とほめられたことがあり、父のお陰かな?とちょっと嬉しかったのを覚えています。


ちなみに、妹は、ヴァイオリンは好きではなかったようですが、高校から合唱にはまり、大学まで合唱団に入って楽しみました。

元々よく通る美声と、鍛えた腹筋のお陰で、今でも家族演奏会をする時には、ヴァイオリンだけでなく、美声を披露し、ヴァイオリンを弾く時より、楽しんでいます。

その美声は、やはり父譲りなのかもしれません。


弟は、幼少期にスズキメソッドでチェロを習っていましたが、当時は練習が嫌で、アメリカから帰ってきてからやめてしまいました。

ですがその後高校時代に、フルトヴェングラーの指揮するベートーヴェンの交響曲にはまり、お小遣いをつぎ込んでCDを買いあさり、あれこれ批評したりラジオに投稿したりするようになり、大学時代にはオーケストラに入り、学業そっちのけで、プロの先生のところにレッスンに通うほど、のめりこみました。

今でも、家族演奏会では、一番たくさん曲を弾いて、楽しんでいます。


そんな感じで、3人とも音楽に何かしらの形で関わってきました。


それは、元々両親がそうやって音楽を楽しんできたり、楽しめる環境を与えてくれたこと、また父のエピソードを聞いていたからかもしれません。


(2)に続く


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