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私の音楽歴(3)
いつも良い演奏ができないことに悩みながら、
何とか克服したく、大学に入ってから、ますます
練習に明け暮れました。
大学に入ったばかりの頃、弟が音楽評論家の宇野功芳さんに心酔し、
宇野さんが熱烈に支持する指揮者のフルトヴェングラーの演奏を
聴くよう、私にも勧めてきました。
その演奏を録音で初めて聴いたのは、
ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」でしたが、
一音目から衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています。
音楽の本質が深い部分から表現されていること、
音楽でこんな表現ができるのだ…と本当にショックでした。
この時、自分の目指したい方向が、明確にイメージできた気がします。
今でも、教えてくれた弟に感謝しています。
また、宇野さんは、ヴァイオリニストのチョン・キョンファや、
前橋汀子先生の演奏も、熱烈に支持していたので、私も大変
影響を受けました。
その後、国内外のコンクールで入賞できるようになるのですが、
これは、この時に目指す方向が固まったことと、
それまでに、先生方から高いレベルの表現技術を学ぶことができた
お陰で、その二つを、自分の中で消化できるようになったからだと
思います。
ここでは詳しく書けませんが、名だたる先生方から受けたレッスン
から学んだことは大きく、だんだん、評価されるための演奏よりも、
音楽の本質を追求する楽しさ、喜びに目覚め、初めて練習が
楽しいと思えました。
先生方のご指導がなかったら、不器用な私が、
国際コンクールで入賞することなど到底できなかったと思います。
この幸運に、今はただ感謝の気持ちでいっぱいです。